2012年10月26日金曜日

宮澤賢治とコクリコ坂



最近、家に帰るとすぐに「コクリコ坂から」のDVDをつけています…。何やら無性に癒される(・・;)
さて、本編中に出てくるメルちゃん達の校歌が好きで、歌詞がスゴイな~こんなスゴイ歌詞を書くだけで、吾朗監督のこと好きになっちゃうな~(顔、普通にカッコイイし…)なんて思っていたので少し調べたら、なんと宮澤賢治が盛岡中学校の卒業生へ送る草稿(?)が原案だったみたいです。これがまた胸が苦しくなるほどのストイックさと聡明な啓蒙さで…。さらに賢治は童話や詩が書けるのに、理系の人でもあるのよね。それだけで尊敬。彼の作品は読んでて辛くなっちゃうから、あまり好きではないのだけど、久々に心が震えましたので両方をご紹介。
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紺色のうねりが
原案:宮澤賢治 作詞:宮崎駿 宮崎吾朗 作曲:谷山浩子

紺色のうねりが 飲みつくす日が来ても
水平線に 君は没するなかれ
我らは山岳の 峰々となり
未来から吹く 風に頭を上げよ
紺色のうねりが 飲みつくす日が来ても
水平線に 君は没するなかれ

透明な宇宙の 風と光を受けて
広い世界に 正しい時代をつくれ
我らはたゆまなく 進み続けん
未来から吹く 風にセイルを上げよ
紺色のうねりが 飲みつくす日が来ても
水平線に 君は没するなかれ

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生徒諸君に寄せる 
宮澤賢治

中等学校生徒諸君
諸君はこの颯爽たる 諸君の未来圏から吹いて来る
透明な清潔な風を感じないのか

それは一つの送られた光線であり
決せられた南の風である

諸君はこの時代に強ひられ率ゐられて
奴隷のやうに忍従することを欲するか

今日の歴史や地史の資料からのみ論ずるならば
われらの祖先乃至はわれらに至るまで
すべての信仰や特性は
ただ誤解から生じたとさへ見え
しかも科学はいまだに暗く
われらに自殺と自棄のみをしか保証せぬ

むしろ諸君よ 更にあらたな正しい時代をつくれ

諸君よ 紺いろの地平線が膨らみ高まるときに
 諸君はその中に没することを欲するか
じつに諸君は此の地平線に於ける
あらゆる形の山嶽でなければならぬ

宙宇は絶えずわれらによって変化する
誰が誰よりどうだとか 誰の仕事がどうしたとか
そんなことを言ってゐるひまがあるか

新たな詩人よ
雲から光から嵐から透明なエネルギーを得て
人と地球によるべき形を暗示せよ

新しい時代のコペルニクスよ
余りに重苦しい重力の法則から
この銀河系を解き放て
衝動のやうにさへ行はれる
すべての農業労働を冷く透明な解析によって
その藍いろの影といっしょに 舞踏の範囲にまで高めよ

新たな時代のマルクスよ
これらの盲目な衝動から動く世界を
素晴らしく美しい構成に変へよ

新しい時代のダーヴヰンよ
更に東洋風静観のキャレンヂャーに載って
銀河系空間の外にも至り 透明に深く正しい地史と
増訂された生物学をわれらに示せ

おほよそ統計に従はば
諸君のなかには少くとも千人の天才がなければならぬ
素質ある諸君はただにこれらを刻み出すべきである

潮や風……
あらゆる自然の力を用ひ尽くして
諸君は新たな自然を形成するのに努めねばならぬ

ああ諸君はいま
この颯爽たる諸君の未来圏から吹いて来る
透明な風を感じないのか