2010年1月29日金曜日
さよなら サリンジャー
一昨日サリンジャーが亡くなったらしい。
とはいえ、恥ずかしながら彼の本は、かの有名な「ライ麦畑でつかまえて」、1冊しか読んだことがありませんでした。野崎氏の訳と村上春樹の訳で1回づつ読んだだけだったかな。
学生時代に読んだ時は、うまくその世界をイメージできないなりに、ものすごい繊細さとゴン太さのある小説だという印象がありました。その後春樹訳を読み、その頃にはNYを旅行したということや、私が少し大人になったことや、春樹のシンプルな訳のおかげで、この本の素晴らしさにやっと触れることができました。
ともかく放校になった男の子が傷ついてないわけがないじゃないか、と。
タイトルの「ライ麦畑~(ドリフが歌ってる曲ですね。♪誰かさんと誰かさんが麦畑♪)」の曲を、セントラルパークの脇の道路で女の子が歌っているシーンなんて(うろ覚えだけど)、冬のキラキラした光と共に枯れ葉が足下に落ちてる光景が、まるでそこに立ちのぼってくるようです。
「ライ麦畑~」は私にとって特別な小説ではありませんが、どれだけ多くの人がこの小説を鏡に、自分の心を映し出し、救われただろうと考えると、その小さくて大きな宇宙に目眩がします。サリンジャーはそんな「多くの人にとって」特別な小説であり、小説家だったのだろうと思います。