2015年2月6日金曜日

飛べ!フェニックス



昨年11月に、安西水丸さんの個展(追悼展)で和田誠さんと水丸さんの生徒さんお二人によるトークショーが開催されたので私も聞きに行きました。質疑応答の時間があり、例によって死ぬほどあがり症なくせに例によってバッチリ質問をしてきました。質問は「水丸さんと和田誠さん、お二人がお好きな共通の映画は何ですか?」というもので、和田誠さんは「飛べ!フェニックス(1965米)」だと答えてくださいました。
・・・何の映画?とまったく聞いた事のない映画で、確かにあまり名作ではないのか、この界隈じゃTSUTAYA渋谷店にしか置いてません。先週末、数ヶ月越しに借りてやっと観てみれば「確かに名作に並ばないのかな…結構長い(142分)のに話がドンドン進むわけじゃないし…」という感じだったのですが、見終わって数日するとジワリジワリと「何だか良かったなぁ」と体にしみこんでくる映画でした。
サハラ砂漠に不時着した輸送機の乗組員たちがどう砂漠を脱出するか、というストーリー。ある意味「大脱走」みたいな構成だけど、全然違うのは登場人物達の不完全な人間らしさ。「ハリウッドの良心」といわれる主人公の足の長いジェームズ・スチュワート(写真右)もわりと怒りっぽかったり、「大脱走」では完璧なリーダー役をこなしいていたリチャード・アッテンボローもここではちょっと皆の顔色を見る気のいいおじちゃん的な役どころだったり(初めて彼を好きになった)、いつでもどこでも威張る将校がいて、それに反感をもつ軍曹がいて、理論詰めのエンジニアがいて、いつも軽口たたいている人がいて、信心深い人がいて…と完璧からはほど遠いメンバーが共に数日過ごし、最後に生き残ったのは意外にこの人か~というエンディング。
わりと豪華キャストながら「大脱走」(これも豪華キャスト!)のような派手さは無いのですが、死んでしまった人を悼みながらも、生き延びられた人たちに心からの喝采を送りたい素敵な映画でした。オススメです!