翌日は追分にある「堀辰雄文学記念館」へバスで行きました~。映画「風立ちぬ」でホットな観光スポットになってました(?)。でも実は彼の小説は「風立ちぬ」と「菜穂子(楡の家)」しか読んだことがないんだ…。「美しい村」もがんばって読んでたのですが時間切れ。
さて記念館の門は追分宿本陣の門を使っているそう。中に入れば堀辰雄が死ぬまで過ごした追分の自宅が公開。保存のため中に入ることはできず外からの見学です。
この籐家具は歌手の高峰三枝子から贈られたとか。不思議な交友関係だブー。
簡素な木の書斎は軽井沢っぽいですね。(追分だけど)
隣には堀辰雄没後奥様が建てた家があり、こちらが展示室になっていました。
靴を脱いでスリッパに履き替えます。ババーンと「堀文学記念館」とね!
庭の隅には小さな書庫が。堀辰雄はこの書庫の完成1ヶ月前に亡くなってしまったとか。残念ですね。
さて、ここでは「風立ちぬ」の節子のモデルとなった矢野綾子嬢への手紙、奥様になる前の多恵夫人への手紙が公開されていて…甘い!!!!歯の浮くような、それでいて普通の人は言わないようなドキッとするようなことをサラっとちょいちょい手紙に混ぜ込んできます。まいったね、こりゃ。ただのメガネ君だと思って接しててもこれじゃ女の子は皆堀辰雄のことが好きになっちゃうよ。
恋文ではありませんが、その中でもよかったのが芥川龍之介から堀辰雄への書簡。
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冠略 原稿用紙で失禮します
詩ニ篇拝見しました
あなたの藝術的心境はよくわかります...
或はあなたと會つただけではわからぬもの迄わかつたかも知れません
あなたの捉へ得たものをはなさずに、そのままずんずんお進みなさい
(略)
二伸 なほわたしの書架にある本で讀みたい本があれば御使ひなさい その外遠慮しちやいけません又わたしに遠慮を要求してもいけません(大正12月11月18日付)
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こんな…人に気を遣ってばかりじゃ死んじゃうよ、芥川。と思うような優しい手紙。双方遠慮しすぎ…。でもこんな素敵な手紙を読めただけでこの記念館に、また軽井沢まで来たかいがありました。
しかしこの記念館の庭は何やら気持ちよくて(方角がいいのかしらん?)、木陰のベンチなんかに座っているとそのまま昼寝して一日そこで過ごしていたくなるような場所でした。