先日、新宿紀伊国屋ホールで田中壮太郎氏出演の、「百枚めの写真-一銭五厘たちの横丁-」というお芝居を観てきました。(※終了しました)
原作は、児玉隆也氏の同名ルポルタージュ、「一銭五厘たちの横丁」。
終戦後30年ほどして出てきた、「昭和18年、出征軍人留守家族記念写真。撮影場所東京下谷区車坂町、稲荷町、竜泉寺町、練塀東、谷中清水町。氏名不詳」と書かれたネガ袋に入ったネガを現像すると、99枚の家族写真が。それは父や息子や夫である出征兵士に「銃後」の家族写真を送るために撮られた写真のネガだったそう。その写真の人達を「氏名不詳」で終わらせないために、ルポライター児玉隆也氏が戦争中ほぼ焼けてしまったその土地を歩いて、消息を探し、当時の話を聞いていくという内容でした。(1年かけて、それでも氏名がわかったのは写真の半分だったそう)
芝居では、そういう色々な人達の話を織り込みながら、戦時中のフィクションのひとつの家族を通して、「氏名不詳」の写真の中にもそれぞれの人生があったことを教えてくれる作りでした。
「百人の死は悲劇だが百万人の死は統計だ」アイヒマン
芝居を観ている間、この言葉が何度も頭をよぎりました。
それにしても、このお芝居に出演し、永井愛作品にも度々登場される大西多摩恵さん。本当に、神様みたいに素晴らしい女優さんでした。どの出演者も上手なんだけど、もう彼女がいるだけで、どうしてこんなに面白く悲しくなり、ギュッと舞台がしまるんだろう!!