もうひとつ、鎌倉文学館で見て「ほほう」と思ったもの。
川端康成が書いた「書簡の書き方」はなかなか面白かった。
少し長いけど、が…学芸員さんがここの部分の図録のコピーをくださったので、載せることにします… (ちょっと色々あった)
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書簡といふものは、口で話す代りに文章で書き表はすものである。(略)
そこで書簡文は、簡潔で、併も親愛の情がこもつてゐなければならない。
その上に多少の面白味を加へることによつて、
相手を感動させるやうなものこそ望ましいのである。
それがためには書簡の形式とか法則を弁(わきま)へ、
併も形式的すぎて浮薄な虚礼に走らず、
そして極めて自由に自分の考へてゐることを、
ちやうど花束を作る時その花束が出来るだけ美しい感じを持つやうに
紅い花や白いのや花弁の大きいのや小さいのや幅の広い葉や
細長い茎などを苦心して取交ぜるやうに、順序正しく抑揚をつけて
相手に好感を与へながら用件を伝へるやう努めなければならない。
だから秀れた書簡文はそれ自体が優に立派な芸術であり得るのである。
古往今来の書簡体小説が論より証拠である。
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とてもとても、私なぞには「立派な芸術であり得る」ような手紙は書けませんが、おそらくここに書かれているような事を踏まえて手紙を書かないと(無自覚のうちにも)、いい手紙にはなりえないということは、わかる。
でも、それとは反対に葉書でラフにサラサラっと書いてペタっと切手を貼って、ポンとポストに投函できるカジュアルな文化・習慣も常に身に付けていたいな、とも思います。 これは「暗夜行路」の影響なのですが。
しかし、川端さんよ、あなた花束なんか作ったことあるの!?